2009 (平成21) 一人一票訴訟  <現在も奮闘中>

2008年6月、大宮ロースクール(久保利が教授を務めていた法曹養成機関)に、升永英俊弁護士がゲストスピーカーとしてやってきて、講義後の懇親会で学生たちに向かい「投票における一人一票の価値は同じであるべき」と話し始める。
「75才を過ぎて老いぼれたら、一人で私費を投じてでも是正のために活動する。住んでいる場所によって一票の価値に不平等が発生していることは、日本の司法の弱さにも原因がある。」と熱く語る升永弁護士の横顔に、久保利は学生時代の自分の行動を思い出す。著名な憲法学者から聞いた一票の価値についての説明に納得がいかず、噛みついたのだ。たぎる思いを感じ、すぐに、「老いぼれてからでは遅すぎる。次の選挙でやろう!」と約束するのだった。

今の日本は、国会議員を選ぶ選挙で、当選させる票の価値に差がある。たとえば、100票集まれば当選する選挙区もあれば、1000票集まらないと当選しない選挙区もあるなど、住んでいる場所(選挙区割り)によって、一人の国会議員を選ぶ有権者数が同じでないからである。都会と地方の差と表現されてしまうこともあるが、そうではない。国家の基本である選挙制度で、一人の国会議員を選ぶ有権者数を、日本全国同じにしたいというものである。

長年、憲法の重要性を訴え、法曹界の人材を多く育ててきた伊藤塾・塾長の伊藤真弁護士にも賛同をもらい、升永、伊藤、久保利の3人を中心とし、志を同じくする全国の弁護士の参加も得て、2009年以降、国会議員の選挙が行われるたび、日本全国で訴えを起こし続けている。

「企業のガバナンスとともに、国のガバナンスも正常にしたい。日本をよくしたい。」その思いだけで、闘い続けている。

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